文学部は何を学ぶのか?どんなことを勉強するのか?学科はどんなものがあるのか?役に立たないから就職できない、不利になるという意見は本当か?就職に有利になるということもありえるのか?などについて書いてみました。
文学部はどんなことを勉強する?学ぶ内容は?
文学部とは”文学”だけではなく、文化全般を取り扱う学部なのです。文化と捉えれば、その範囲は文学を超えます。歴史だって、哲学だって、倫理だって、しいては民族学、心理学、社会学まで、広く扱われます。
とはいえ、「じゃあ文化を学んで何になるんだ」という話になるかもしれません。
おそらく皆さんが「何になるんだ」という質問の裏には、実用性だとか、就職の意識があるのではないかと思います。
そのとおり、文化を学ぶことは実用性には欠けます。経済学部のように統計を学ぶわけではありませんし、商学部のように経営戦略を学ぶわけでもありません。
しかし、文学部が目指しているのはそういった実用性ではなく、私たちが「人間として楽しむ」娯楽を提供する役割を持っているように思います。つまり、”教養”と呼ばれるものです。
私はシェークスピアだとかハムレットだとかいう文学作品を知りませんが、それを知っていると「教養のある人」と呼ばれるでしょう。そうした教養を徹底して深めることが、文学部の生き様だと、僕の友達が言っていました。
過去の人の軌跡を学び、深めることは大変有意義なことですよね。
出典文学部って何してるの?【学部紹介】|塾講師ステーション情報局
文学部で学ぶ内容は、主に哲学、歴史学、文学の3つに大きく分かれます。
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哲学は、紀元前のギリシャで生まれた歴史の長い学問です。もともと哲学の意味は、「知を愛すること」です。「正義とは何か」「時間とは何か」「自己とは何か」「良いとは何か」といった、答えを出すのが難しいけれど重要な問いを考えている学問が哲学です。
歴史学は、過去に残されたものを検証し、事実として起こったことを分析する学問です。フランスの画家ポール・ゴーギャンは「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という作品を残しました。このように、人間は自分のルーツに関心を持つ生き物です。歴史は、単に過去を思い出すだけではありません。「私たちの祖先はどうして戦争をしていたのか」を理解することは、「これから戦争しないためにはどうすれば良いか」を考える材料となってゆきます。
文学、文芸作品といって、日本人の多くが知っているのは、例えば夏目漱石の「吾輩は猫である」や芥川龍之介の「羅生門」でしょうか。中学や高校の教科書でも採用されている文章です。文学には、「文学とは何か」という基礎を考える文芸理論、作品を読み評論する文芸評論、作品を作るための文芸創作という分野があります。一般的には、こうした文学作品のみを文学部で学ぶことと思われているかもしれませんが、哲学や歴史学も人文学の一部です。
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文学部で何を学ぶか?というのは非常に難しいです。他の文系学部もそうですが、細かく分類すればかなりの広範囲な内容を扱うケースが多いため、文学部ではどんなことを学ぶか?というのは一概には言えないのです。
どんな勉強をするのか?というときには、選択する授業によるので、ある程度大雑把なことしか言えません。それに文学部は細かく学科、または専攻が分かれているのが通常なので、それによって主に学ぶ内容が絞られます。
日本文学科やフランス文学科などがありますが、この2つはかなり領域としては異なるものともいえる気がします。もちろん、共通点もあるとは思いますが、文学部ではどんな勉強をするのか?という問い自体が、ある意味哲学的な側面を持っていると言えるのではないか?と思います。
文学部ではどんな勉強をするのか?というのは、1番イメージとしては浮かびやすいかもしれませんが、法学部や経済学部以上にその実態は受験生が全て把握できていない部分を含むのではないか?と思われ、実は理解するのが難しい学部だと思うのです。
大学での授業というのは本当に広範囲なものが多数用意されているので、漠然と文学は何するところなのか?を理解するのではなく、こんな授業があるんだ!?ということを知った方が理解はしやすいのではないか?と思います。
志望する大学がすでに決まっているならば、その文学部の学科ごとの授業名を調べていけば、その大学の文学部で学ぶ内容がなんとなく分かってくると思います。
文学部で学ぶことは教養に近いことなので、役に立たないと言われることもありますが、卒業してから役に立たせられることを学ぶのが大学ではないので、そこは本来はおかしなところではないのです。
大学は教育機関であり、就職予備校ではないというのが正しい意見だと思います。
文学部の学科選びは非常に重要
文学部というのは他の文系学部と比べて、最も学科が細分化されている学部とも言えます。学科は1つで専攻が複数というケースもありますが、そういった学科や専攻選びは非常に重要です。
なぜか?というと、学科や専攻によって文学部で学ぶ内容がガラッと変わることがあるからです。文学部ではどんな勉強をするのか?というのが答えづらい理由の1つとしては、まずはそこがあるわけです。
文学部では何を学ぶのか?それ自体が全く違ってきますし、場合によっては文学部よりも別の学部に近いんじゃ?と思えることがあります。
文学部のメジャーな学科と言えば、日本文学科、フランス文学科、ドイツ文学科、英文学科、史学科、教育学科、哲学科、地理学科、社会学科などでしょうか?このあたりが多くの大学に存在しています。
でも、例えば教育学科は教育学部、社会学科は社会学部の内容に近いと言える面もあると思うので、文学部に入ったけど、違う学部みたいと感じる可能性もあります。
だから、文学部を選ぶときにはなんのために入るのか?そして、何をしたいがために入るのか?を明確にして、学科や専攻を選びを慎重にやらないといけません。他の学部以上に、学科や専攻選びで学ぶ内容が本当に違いますから。
どんなことを学ぶのか?ちゃんと大学ごと、学科や専攻ごとに事前にリサーチしてから決めましょう。文学部は本当にどんなことを学ぶのか?を知らないと、実は勘違いしているようなケースもありますから、大学ごと、学科や専攻ごとに実際の授業名やカリキュラム、あとは学生の口コミなどを参考にして選んでいきましょう。
文学部は意味ない?いらない?
今回取り上げた質問は、「堀江さんと細野さんの、国立大文系廃止関係のツイートを拝見しました。そこに寄せられた意見には、実用的かどうかではなく、考える場」があれば思考能力アップ→「良い考え・行動」につながるというものもありました。
出典ホリエモン「文学部の勉強なんて、ネットで十分でしょ」文系廃止を唱える真意とは!?/堀江貴文のQ&A vol.532〜文学部はいらない!?〜 | ホリエモンドットコムブログ
これはその通りですが、それでも文学部を公的な負担でやるべき理由にはならないと私も思いました。さらに、ネガティブな効果もあります。文系教授などのポストを目的にしてしまう学生がおり、別の分野で才能を発揮する機会を失うことや、エリート意識が高まり、学生運動が巻き起こり、内部・警察での死者が多数発生するという過去の歴史などです。
文学部などは純粋な民間に移行して行くのでしょうか。私個人は学生で、後戻りできないと思ってしまっています。いっそ学部がなくなってくれれば、本当に自分のやりたいことを見つける行動に切り替えられると思ってもいます」という質問。
ホリエモンは、「別に必要ないでしょ、文学部。今ならネットが同じような場を提供できる」と回答。
出典ホリエモン「文学部の勉強なんて、ネットで十分でしょ」文系廃止を唱える真意とは!?/堀江貴文のQ&A vol.532〜文学部はいらない!?〜 | ホリエモンドットコムブログ
実はホリエモンもアシスタントの寺田有希氏も、出身は文学部。そんな彼らからすると、まず目についたのは質問者の「いっそ学部がなくなれば、自分のやりたいことを見つけられる」という発言だ。
特に寺田氏は「学部がなくなったからといって、質問者の夢が見つかるわけじゃない」と辛らつな発言。文学部が実用的でない(勉強する意義が見つかりにくい)からと言って、そこに自分のやりたいことが見つからない責任を押し付ける態度に、ホリエモンもイライラしている。
さらにホリエモンは、「政治家の人って、なんであんなに建て前みたいなことばかり言うんだろう。ぶっちゃけ文学部なんていらないと思ってるでしょ」と言い放つ。
ホリエモンの文学部廃止への思いは、かなり強いようだ。
文系の廃止が叫ばれることもありますが、文学部の廃止が叫ばれることもあり、堀江貴文氏もその1人です。文学部はなんのために入るのか?意味ないと考えている人がいるのは事実です。
ただ、堀江氏などが語っているのは文系の学部ほぼすべての共通することであり、文系の全ての学部がなくなるのか?と言ったら、それは考えられないでしょう。
文学部がいらないとは言われるが、文学部に通う学生がこれだけ多くいるという意味では、需要は間違いなくあるので、文学部が意味ないか?どうかはともかく、文学がいらないとまでは言えないでしょう。
文学部ではどんなことを学ぶのか?といえば、大学にもよりますし、学科にもよるでしょう。ただ、文学というのは学ぶ内容の方向性は共通している面がありますし、経済や法律や語学などと違って役に立つ面は少ないです。
経済や法律も普通の社会人として生きている場合には、大学の学部レベルでは役に立たないというか、役に立つ場面はかなり限られると思いますけど。文学部ではどんな勉強をするのか?と言う部分が学科によっても違いますし、案外役に立てさせられる可能性はありますけどね。
でも、実社会で役に立たない部分が多いからこそ、文学部はいらないという声が出てくるのでしょう。文学部で学ぶ内容は基本的に教養であり、趣味の域ということになってしまいますから、卒業後に文学部で学んだことを生かして人の役に立つことができるのか?と言えば、難しいでしょう。
しかし、法律や経済を学んだ人はそれを卒業後に生かして人の役に立つことをしているのか?といえば、それとも同じくNOと言えるでしょう。
大半の人は民間企業に進みますが、大学時代に学んだことを生かせている人は限りなく少ないと思われます。文学部がいらないとなると、他の学部も意味ないと言えそうな気がしますし、文学部が意味ないのならば、文系が意味ないという結論になるのではないでしょうか?
文学部は国公立、私立大学含めて、多くの大学にある定番の伝統的な学部ですが、今後再編されたり、廃止になるところが生まれるのか?は注目と言えるでしょう。
文学部は就職できない?就職に不利?
文学部と聞いたら、「なんか就職が危ういんじゃないか」という印象は古くから持たれますが、実際のところどうなのでしょうか。
これについては少しばかり難しい問題があります。それは「就職がいい」というのは何を基準としてそう言えるのかということです。
例えば就職率が良ければ良いのか、あるいは内定先が有名企業であればいいのかという問題がありますし、さらにいえば”有名企業”とはなにかという問題もあります。
ですので、そもそも「就職がいい」の定義があいまいであるから、この点だけを見ても一概に「文学部は就職が良くない」とはいえないでしょう。
出典文学部って何してるの?【学部紹介】|塾講師ステーション情報局
文学部には歴史だとか心理学だとか、あるときには教育だといった分野を含みます。その場合よくあるのは、「教員」だとか「精神医療」だといった目標を持つ人が多くなるのです。文学部の文学科にいくようであれば、やはり文学を志望している人はある程度はいるわけで、その人達はその研究を行うことになります。
出典文学部って何してるの?【学部紹介】|塾講師ステーション情報局
他の学部と違い、没頭しやすい分野であったりするがために、就職をしようと思う人がそんなにいなかったりするのです。就職率というのは「学部生全体において就職する人数」を表したものであって、就職しようと思って就職に成功した率を表しているわけではないのです。
文学部が就職に不利と言われる理由は、文学部で学ぶことが企業での仕事に全く関連を持たない(場合が多い)ということでしょう。
だから、文学部は意味ないといわれる理由になるのかもしれないが、就職に役に立つ、役に立たないで文学部がいらないか?どうかの議論は意味がないのです。就職のためだけに文学部に入っているわけではないでしょうから。
だからといって、文学部が就職できないということはないです。そして、就職に不利とも言い難いです。でも、それは法学部、経済学部なども同様です。
程度の差こそあれ、社会科学系の学部出身者が大学時代に学んだことというのは、たいていは役に立たないです。サラリーマンやOLという職業においては、基本的には文系学部は大学で学ぶことと仕事上の関連は薄いので、文学だけの特有の事情ではありません。
また、文学部の就職率が他の学部よりも低いというデータが仮にあったとしても、それは単なる結果論であり意味がありません。
何が意味がないのか?というと、前提条件が学部ごとに違っているわけです。引用にもあるように、文学部に入ってくる学生はそもそも就職を希望している人が割合的に少ない、または就職する気はあるが、そこまで意欲的ではないという可能性もあります。
というのも、文学部が就職に不利と思い込んでいる高校生は非常に多いでしょうから、卒業後のことを真剣に考えれば考えるほど文学部は避けるのではないでしょうか?
そうなると、就職活動に意欲的な学生ほど文学部以外を志望し、そうじゃない学生は文学部に集まりやすくなるという現象も生まれる可能性があります。
したがって、スタート地点でお互いの学生の能力というか、就職活動に対するやる気のようなものが違っています。法学部や経済学部は相対的にやる気の高い学生が多いかもしれないが、文学部は就職したいと強く思っている学生は少ないはずなので、文学部の就職率が他の学部と比べて相対的に低いとしても、それは比べるときの前提条件がまるで違っているので、単純比較は無意味なのです。
だから、就職率などのデータを見て文学部が就職できないといったことはありませんし、就職に不利ともいえないでしょう。結果論でしかないからです。
結果だけ見てどちらが優れているか?を比べることは意味がないということになります。分かりやすく言うならば、100m走を鈴木さんと佐藤さんで走るとき、鈴木さんは5m前からスタートを切ることができ、鈴木さんが佐藤さんに1mの差をつけて勝ちました。
このとき鈴木さんが先にゴールしたのだから、鈴木さんの方が足が速いということになりますか?ということです。これが結果論では意味がないということの真意になります。
文学部の就職先としてはどんなところがある?
文学部出身者の就職先はさまざまです。
出典文学部で学ぶこと、学科、志望理由、就職先 | Career Garden
文学部で学ぶ内容は、経済学や法学などの「実学」ではないことから、「就職には弱い」「社会では役に立たない」といわれることもあります。
しかしながら、文学部でじっくりと学びを深めて社会と人間の関係性を理解し、人間力を高めていけば、それは卒業後、厳しい社会で生きていく大きな力になるでしょう。
そのため、就職では理系分野のように専門知識をすぐに実務で生かすというよりも、人間力を強みに各進路で知識を身につけながら活躍する人が多いようです。
マスコミ、出版、サービス、メーカーなどや、なかには公務員試験を受けて国家公務員や地方公務員になったり、大手企業、一流企業といわれるところで活躍したりする人もたくさんいます。
もうひとつの特徴としては、大学卒業後に大学院へ進学して研究者への道を目指したり、教職課程を履修して教員を目指す人も比較的多くいるということです。
文学部の就職先というのははっきり言っていろいろな可能性があります。
それは法学部や経済学部と同じです。文学部の就職先というのは幅広くて、特にこれとは言えません。
文学部は就職できないということでもないですけど、就職先が多岐に渡っているので、人によって目指している業界は違います。
文学部で学ぶことが役に立たないと言われてはいますけど、教育学科とかは教育学部に近い内容で、教員を目指す人が多くいるため、こういうケースに限っては文学部で学ぶ内容が仕事と関連すると言える部分もあるのです。
文学部は就職率が悪いとか、就職しづらいという声もあるかもしれませんが、逆に就職しやすいかもしれないケースもあるのです。
文学部は全体として就職に有利とまでは言えないかもしれませんが、教育学科は割と就職に有利に働く可能性があるのではないか?と思います。
文学部の就職先については人によって違うので、調べてもあまり参考にならないかもしれませんけど、気になる人は見ておくと良いのではないでしょうか?
文学部は就職が悪いという評判を聞いている人もいると思いますし、そういうイメージの人もいるかもしれませんが、文学部が就職に不利ということは必ずしも言えませんし、すでに話したように結果論でしかないので、文学部は何するところなのか?役に立たないのではないのか?何のために勉強するのか?という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、就職においてはあまり関係ないと言えます。
企業は専門性は求めていないので、文系学部の場合にはどの学部出身か?というのは、あまり関係ないです。文学部を卒業して就職する人も多くいますけど、多くの人は就職で困ったりはしていないと思いますよ。
文学部と就職の関係性について考えることは意味ないと思いますし、どんな勉強をするのか?何を学ぶのか?という内容面で文学部を選ぶか?どうかを決めると良いのではないでしょうか?