・散歩中に飼い犬が草を食べるけど、平気なの?
・どうしてうちの子は草を食べて吐くの?病気なの?
こんな疑問にお答えします。
飼い主さんの中には、犬が草を食べることに悩む方がたくさんいます。
「病気ですか?」と悩む人もいると思いますが、健康な子が圧倒的に多いです。
実は、犬が草を食べて吐くハッキリした原因は分かっていません。
胸やけがする、栄養不足やストレスなど、さまざまな意見があります。
犬が草を食べることに関する論文は少ないですが、論文には犬が草を食べるのは正常で、特に病気や栄養とは関係がないというデータも出ています。
本記事では、犬が草を食べる主な5つの理由について調査した結果を解説をしていきます。
この記事を読んでいただくと、犬が草を食べることについての知識とその対処法、異常なケースを見分けることができるようになりますよ。
それでは見ていきましょう。
犬が草を食べる5つの理由

なぜ犬は草を食べるのでしょうか。
草を食べる理由は5つ挙げられます。
それでは犬が草を食べる5つの理由を解説していきますね。
【犬が草を食べる理由①】お腹の調子を整えるため
犬が草を食べる理由として、もっとも多いのがお腹の調子が悪い時に草を食べて吐くというものです。
犬は人に比べて、吐いたり下痢をするといったお腹の不調が出やすい動物です。
嘔吐したものや下痢に出血が混じることもあり、飼い主さんをビックリさせることもしばしば。
(なお、犬は下痢や嘔吐によく出血が混じるので重い病気ではないです)
朝から食欲のない子が草を食べて吐き、その後スッキリしてご飯を食べるのは良くあることなので、この理由は正しいです。
また犬が草を食べた後に吐かないこともよくあります。
【犬が草を食べる理由②】飲み込んだ異物を吐き出すため
2つ目の理由は、犬が飲み込んだ異物(おもちゃや毛玉など)を吐き出すために草を食べるというものです。
この理由については、決して正しくないようです。というのも、これらが理由で草を食べて吐こうとした症例はほとんどありません。
すでに異物が胃や腸内を刺激しているはずなので、犬がそれ以上に胃腸を刺激する行動をするか、という疑問も残ります。
この理由にあまり信頼性はないでしょう。
【犬が草を食べる理由③】ビタミン・ミネラル補給のため
3つ目は足りない栄養素、ビタミンやミネラルを補うという理由です。
特に葉酸について不足しているという意見が多いです。
ドッグフードに含まれる栄養素は長年研究されており、犬に必要な栄養素は満たされるように作られています。
それでもなお、ビタミンやミネラルの補給が必要なのでしょうか。
この理由については、判断ができません。
判断ができない理由は、以下のとおりです。
- 犬は、胃腸に草の細胞壁を分解するセルロース分解菌を持たない
- 犬は、細胞壁以外の部分は消化できる(と言われている)
- 犬に必要な栄養素が、細胞壁か細胞壁以外に含まれるのかわからない
栄養素がフードで足りている可能性が高いうえに、足りなくなる理由や草から犬が吸収できる栄養についての論文を見たことはありません。
食事量が足りない可能性は考えられるので、一度フードの量を確認してみるのはいいかもしれません。
【犬が草を食べる理由④】ストレス解消・遊びのため
4つ目の理由は、ストレスや遊びのためです。
なかなか遊べない、お留守番が多いなど、日頃のうっぷんがたまると、草にストレスをぶつけることもあるかもしれません。
お散歩のとき、行きたくない道に連れていかれた、帰りたくないのに帰らされたなどのストレスもあるかもですね。
草は揺れて動くので、遊び道具にもなるかもしれませんね。
これに関しては、犬に聞いてみなければ分からないので判断はできません。
ですが、可能性としては十分ありえます。
【犬が草を食べる理由⑤】お腹がすいた・単に食べたいから
草を食べたいかどうかも犬自身に聞いてみなければ分からないですね。
本来肉食動物である犬ですが、猫と比べると生態は雑食に近いです。
そのため草を食べることもできますし、草の栄養の一部は吸収することもできます。
犬は食べ物を味ではなくニオイで判断している傾向があるので、草を「おいしそうなニオイ」と感じれば好きで食べても不思議ではありません。
犬はどんな草を好んで食べるのか




犬が好む草のタイプは決まっていて、ほとんどがクローバーかイネ科の細長い草です。
この草を好んで食べる理由もハッキリとは分かっていません。
クローバーはマメ科の植物で、牛など草食動物の胃腸を膨らませる「鼓張症」の原因として知られています。
イネ科の細長い葉はチクチクしていて、胃腸に刺激を与える形状をしています。
これらのことから考えると、犬が草を食べて吐いてスッキリしたい、という理由で2種類の草を食べているケースは納得できますね。
ただ単においしそうなだけかもしれませんが。
犬が食べてはいけない草とその他の注意点




野外には犬が食べると体調を崩す植物も多くあります。
場合によっては命を落とすものもあります(トリカブトなど)。
どのような場所を歩くかによって注意するべき植物も違いますが、ざっと挙げると以下のようなものがあります。
アサガオ
アジサイ
アザレア
アロエ
イヌサフラン
ウルシ
キキョウ
クリスマスローズ
スイセン
トリカブト
ヒガンバナ
フジバカマ
ユリ
ヨウシュヤマゴボウ
チューリップ
ここまででお分かり頂けたと思います。
そんなにたくさん覚えられないことを。
ここに出したものは一部ですが、きっと覚えられないし、植物好きな人以外は見分けることも難しいでしょう。
注意するべきことは、見てなにか分かる植物以外は犬に食べさせない、触れさせないことです。
また、草を食べる以外の注意として以下のことが挙げられます。
- 除草剤・殺虫剤がまかれていないか
- ダニに刺されないか
- 虫も食べると寄生虫が感染する可能性がある
- ビニールなどのゴミを食べないようにすること
除草剤・殺虫剤がまかれている場合は非常に危険です。
特に有機リン系の殺虫剤は犬の神経に作用し、命に関わる危険な薬です。
お散歩の前には除草剤や殺虫剤がまかれていないか、よく確認しましょう。
ビニールは胃や腸の中に入るとヒモ状になり、高確率で腸閉塞を起こしますので、注意してください。
ダニも病気を媒介しますので、しっかりダニ予防もしておきましょう。
犬が草を食べるのはやめさせるべき?




犬が草を食べるのを許すか、やめさせるかと聞かれたら、やめさせるべきと答えます。
その理由としては、上記のような農薬や殺虫剤がまかれている可能性があること、中毒を起こす草があることや、寄生虫のリスクなどです。
では、これらのリスクが実際にどれだけ起こるのか、と聞かれれば「可能性は低い」でしょう。
草を食べたがる犬をムリヤリやめさせるのも、飼い主さんの気持ちとして罪悪感を感じるかもしれません。
ですので、「草を食べさせるのはやめさせるべき」と答えますが、どうしても食べたい子の場合は以下のような対応をオススメしています。
- いつものお散歩時は食べてもよい(農薬散布など注意)
- 山などのお出かけ先では食べさせない
- 安全な草を食べさせるようにする
安全な草とは、自宅で栽培した猫用の草などのことです。
猫用の食べる草(いわゆる猫草)はオオムギや燕麦などのイネ科植物で、犬も好んで食べることが多いですよ。
ご自宅にプランターを用意できる場合は、いくつかのプランターに種から育て、1つ食べられたら次のプランターを出すというようにローテーションすると良いです。
犬が草を食べる異常なケース




犬が草を食べるのは正常なケースが多いですが、中には異常なこともあります。
異嗜症
異嗜症とは、石や紙、ビニールなど、食べ物でないものを食べてしまう症状のことです。
原因としては以下が考えられます。
- 栄養不足(特に鉄、亜鉛)
- 食事量が足りない
- ストレス
- 精神不安定
- ガンなどの重病
- てんかん発作の一部
今まで草を食べなかった子が食べるようになったり、草だけでなく石や土なども食べてしまう、ビニールを食べようとするなどの行動は、異嗜症の可能性があります。
生活環境やフードが変わったり、高齢になった犬の場合は異嗜症も疑う必要があるかもです。
また、てんかん発作には「部分発作」という発作があり、草を食べているときに呼びかけても触っても反応がない場合には発作かもしれません。
かかりつけの主治医に相談して、異嗜症かどうか診断してもらいましょう。
まとめ:犬の草食いは安全性を確保してから




これまでの話をまとめます。
まとめ
・犬が草を食べる理由はハッキリとはわからない
・胃腸の調子を整える理由は正しい可能性が高い
・イネ科やクローバーの草を好む
・基本的に草を食べるのはやめさせた方が無難
・異嗜症の可能性もあるので注意
犬が草を食べるのは正常なことがほとんどですが、まれに異嗜症のこともあるので注意が必要です。
犬が草を食べる時は、フードの種類や量の見直し、体調の確認など、健康面を改めて振り返るいい機会にもなります。
愛犬の健康のためにも、一度確認してみてくださいね。
草を食べさせる場合には、必ず安全か確認してから食べさせるようにしてください。